今回はゲームマーケット2015秋で購入したゲームです。
御朱印あつめ
人数:3〜4人
ルールの難しさ:★★☆☆☆
プレイの難しさ:★★★☆☆
プレイ時間:30分
写経を納めて御朱印をもらおう!
■目次
▶ゲームの紹介/概要▶ゲームの流れ
▶プレイ感
■ゲームの紹介/概要
御朱印あつめはゲームマーケット2015秋で販売された,お坊さんが作ったゲームです。さて。
「御朱印」というものをご存知でしょうか。
厳島神社の御朱印。
御朱印帳。御朱印を押していただくための手帳のようなもの。
御朱印とは本来,お寺に写経を納めた証としていただくもの……ですが,現在ではお寺にかぎらず神社でも初穂料(という名目を多く見る気がします)を納めるといただけるもの。
本来的な意義はともかく,現代では寺社を訪れた記念(と言っては罰が当たりそうですが)にいただく方が多い印象です。
そんな御朱印を集めるのがこの「御朱印あつめ」。
まずはルールブックよりゲームのストーリーを引用します。
とあるお寺に僧侶たちが集まって会議をしていました。
「最近では、御朱印あつめが趣味として流行していると聞く。ケシカラン!スタンプラリーではないのだ!
御朱印とは、お寺に参拝、写経を納めた証拠。仏さまとのご縁をいただいた証なのだ。
・・・よし!これからこの寺町では、『一番長いお経』を納めた者に御朱印を渡すこととしよう。」
私たちプレイヤーはお寺巡りをしています。写経チップを納め、御朱印カードをいただき、仏さまとのご縁をたくさん結び深めていきましょう!
(「御朱印あつめ」ルールブック ストーリーより)
……スタンプラリー感覚で御朱印を集めている身としては,非常に耳に痛いストーリーですが話を進めましょう。
「お坊さんが作った」ということでインパクトのあるゲームです。まず見ていただきたのは豪華なゲームセット。
内容物一覧
御朱印カード。特殊カード(黒いカード)は金文字。なかには御朱印ではないものも。
御朱印帳ボード。布張り。
写経チップ。4種類の長さの写経チップがある。
なかでも御朱印カードと写経チップはお坊さん直筆とのこと。
ゲームとしては,ストーリーにもあるとおりいちばん長いお経を納めたプレイヤーが御朱印カードを獲得します。
御朱印カードは単独でも得点になりますが,複数枚集めて役を作るとボーナス得点も手に入ります。
ゲーム終了時に,この得点がいちばん高い人の勝利です。
さっそくルールの紹介に移りましょう!……と,言いたいところですが,このゲーム。
「如来」「菩薩」など仏教に親しみの薄い人にはわかりにくい言葉が出てきます。
すべて解説はルールブックに書かれているのですが,ちょっと直感的ではないので用語の関係を図で示しておきます。
あくまでルールブックから読み取れる範囲の図ですので,実際の仏教用語とは異なっている可能性がありますがご了承ください。
仏さまの種類の図
上の図を頭に入れてゲームを見ていきましょう。
■ゲームの流れ
まず各プレイヤーは御朱印帳ボード1つと写経チップ4種を持ってゲームを始めます。
ゲーム開始時の所有品。御朱印帳ボードは御朱印カードを置くための目印なので,自分で持っている御朱印帳で代用することも可能。
御朱印カードは白いものも黒いものも混ぜて山札にします。
ここから1枚のカードをめくって表にしたらゲーム開始です。
今回の御朱印は「大日如来」。
ゲームは手番制で進んでいきます。
最初の手番のプレイヤーは,写経チップの中から好きな長さのお経を1〜3枚選んで表向きで出していきます。
これで手番は終了。
隣のプレイヤーも同じように1〜3枚の写経チップを出していきます。
全員がチップを出し終わったら,御朱印獲得の判定に移ります。
現在めくれている御朱印カードをいただくことができるのは,もっとも長い写経チップの組み合わせを出したプレイヤーです。
もし合計の長さが同じ写経チップを出しているプレイヤーが複数いた場合には,先に出したプレイヤーが御朱印カードをいただきます。
例。右のプレイヤーは「2+3」,手前のプレイヤーは「1」,左のプレイヤーは「2+3+4」,上のプレイヤーは「2+3+4」の写経チップを出している。今回は右のプレイヤーから時計回りにゲームが進んでいるので,「大日如来」の御朱印をいただけるのは「いちばん最初にもっとも合計の長い写経チップを出した左のプレイヤーになる。
いただいた御朱印は自分の御朱印ボードの横に並べていきます。このとき,御朱印の順番を並べ替えることはできないので気をつけてください。
3枚目の御朱印をいただいたときの御朱印帳ボードの状態。
そして,各プレイヤーは今回御朱印を手に入れるために使った写経チップを裏返して御朱印帳ボードの上に置きます。これらは次の御朱印をいただくためには使用できません。
このとき,すでに御朱印帳ボードの上に置かれている写経チップがあれば,それは使用できるようになります。
要するに,「今回使った写経チップは次回使えない」ということです。
裏返った写経チップ。写経を納めてしまったため,また写経しないと使えるようにならない。
ということを繰り返していき,山札が尽きたらゲーム終了です。
得点計算に入ります。
ゲーム終了時の御朱印帳ボード。御朱印ではないものも紛れ込んでいる。
基本となる得点は,「白の御朱印は1点」「黒の御朱印は5点」「はずれは-1点」です。
これに加え,獲得した御朱印の種類・並びによっては役ができます。
たとえば,「大日如来」の両隣に同じ種類の仏さまが並んでいればボーナスで10点をいただける「マンダラ」などです。
役「マンダラ」の図
これらの点数を合計して,いちばん得点が多くなったプレイヤーの勝利です!
■プレイ感
ルールを読んだときは「シンプルすぎるかな……?」と思いましたがそんなこともありませんでした。 このゲームで特に強いのは「黒の御朱印」と「役成立時のボーナス得点」です。黒の御朱印は自分が取れるように全力を出せばいいのですが,問題は役。
自分で役を成立させることも大切なのですが,むしろほかのプレイヤーの役成立を妨害することの方が重要な印象でした。
ここで生きてくるのがルールの「もし合計の長さが同じ写経チップを出しているプレイヤーがいた場合には,先に出したプレイヤーが御朱印カードをいただく」という部分。
「『役を成立させるにはこの御朱印をいただいてはいけない』のにいただかざるをえない」状況がでてきます。
そのことを考えると「一度使った写経チップは次の回では使えない」というルールのおかげもあり,チップの調整が難しくなっていました。
ほかのプレイヤーに御朱印を押し付けつつ,自分は必要な御朱印をきっちり集めていくゲームになるでしょうか。
ということでゲームの付属物から見てもゲーム自体を見ても満足感は高かったのですが,いくつか気になる点も。
まずひとつ大きいのは,役が直感的にわかりにくいという点。
ルールブックが不二の会さんで公開されているのでご覧いただきたいのですが,どうにもわかりにくい。
ルールブックには書くべきことが書いてありますし,図解も入っています。しかしそれでも役がわかりにくいのはおそらく用語の説明が足りないからでしょうか。
「仏さま」「如来」「観音」「菩薩」「仏さまの種類」「『阿弥陀如来』等の名称」このあたりの言葉が(仏教的な意味の解説はされているのですが)ゲームとしての用語の解説がありませんでした。
とくに「仏さまの種類」というのが何を指すのか少々わかりにくかったかと思います。
ですので,上記の図では注記をいれさせていただきました。
仏さまの図解。再掲。
もしこちらの解釈ちがいがありましたらご指摘ください。
それと,そもそも「御朱印ってなんだ?」という話がルールブックに載っていないのは気になりました……が,そもそも御朱印を知らない方はこのゲームを買わなそうですしいいのかな,とも思います。
ルールブックでは仕事柄細かいところが気になってしまいましたが,ゲームとして気になったのは1つだけ。
このカードです。
ハズレの御朱印(?)。恐怖のお化け屋敷
このカードははずれということでお化け屋敷のチラシ風になっているのですが,朱で色を塗られているため,山札の中に入ったときにどこにあるのかがわかってしまいます。
どこにあるかわかるかな?
とはいえこれは体裁上どうにもならなそうなので仕方ないでしょうか。
いろいろ書いてしまいましたが,ゲームとしては考えることが多く,またゲームセットも綺麗。
おまけにお坊さん直筆の御朱印ということで特が高そうな気もします。
ルールブックも御朱印のいただき方などを書いたコラムや仏さまについての解説が書かれています。
ゲームを楽しめるだけでなく,仏教にも詳しくなれてお得。
一般販売されているゲームではないので入手は難しいかもしれませんが,2月におこなわれるゲームマーケット2016神戸でも販売予定とのことですので,狙ってみてはいかがでしょうか。
御朱印についての本。わりとわかりやすく書かれていました。