心臓発作にならないための10の方法
本日紹介するのはこちら。
心臓発作にならないための10の方法
人数:2〜5人
ルールの覚えやすさ:★★★☆☆
プレイの難しさ:★★☆☆☆
プレイ時間:60分
健康体で生き残れ!
周りのプレイヤーがストレスや高血圧で命を落としていく中,健康的な食事と適度な運動,そして少しの薬物で自分の健康を維持していくという不謹慎極まりないゲームです。
パッケージのお姉さんが日本のゲームではあまり見かけないタイプのお姉さんですね。作者名からすると元はロシアあたりのゲームでしょうか?
「パーティーボードゲーム」ということで,とてもワイワイ楽しくやれそうな気がします。
ボードはこんな感じ。
プレーヤーは毎日(毎ラウンド)「職場」「フィットネスジム」「自宅」「スーパーマーケット」「薬局」「フリーマーケット」のいずれかに行くことができます。
そして各キャラクターにはステータスがあります。
ステータス値はご覧のとおり,「コレステロール」「血圧」「肥満」「うつ」「血糖値」「ガン」の6つ。肥満以外のいずれかの値が10になるとポックリ。以降は他の皆さんを草葉の陰から見守る役目になります。
さて。
まずみなさんの一日(各ラウンド)はイベントから始まります。
義母の来襲や交通事故,冷蔵庫の故障など人生ではさまざまなイベントが起こります。そしてそれは得てして回避できないものです。
みなさんは数あるイベント(そしてそのほとんどは大なり小なり不幸なイベントです)の中から最もマシなものを選択し,そして受け入れてください。イベント後はたいてい体調にマイナスの変化が起きます。仕方がありません。それも人生です。
さて,イベントをこなした後は今日の(今ラウンドの)スケジュールをこなします。
先述の6箇所のうち,いずれか3箇所に行きましょう。それぞれの場所では,できることが異なります。
例えば職場では仕事をしてお金をもらえます!
健康に過ごすためにはまずお金が大切! お金がないとジムにも通えないし健康食品も買えません! 必死に稼いでください。
……なにか嫌な現実を見てしまった気がしますが,現実を見るのはこれからです。
お仕事をすると手に入るものがもうひとつありますね?
自己成長? 社会的信頼? 大切な仕事仲間? ちがいます。
ストレスです。
職場に行くと,わずかばかりのお金が手に入る代わりに,ストレスが溜まります。
さあ大変。仕事で溜め込んだストレスはどこで発散すればいいでしょう。
フィットネスジム? それもいいでしょう。フィットネスジムに行けばジムの使用料と引き換えにストレスと肥満を軽減することができます。
それとも自宅でのんびり過ごしますか? それもまたひとつの正解です。自宅で過ごすとストレスを軽減することができます。さらに食事をとったりパーティーを開くこともできますが,こちらは追って説明しましょう。
ジムに行く。自宅で過ごす。たしかにどちらも正解ではあります。ですが21世紀になって10年以上が経っているのに,そんな昔ながらの方法でストレスを発散させるだけでいいのでしょうか。
そうです。あなたが行くべき場所は薬局です。
薬局では,お金と引き換えに薬品をランダムに手に入れることができます。もちろんまともな薬も扱っています。
まともじゃなさそうなクスリが手に入ることもあるでしょう。
(本記事はあくまでボードゲーム内の話であり,決して現実での違法な薬物の使用を推奨するものではありません。念のため。)
そしてスーパーマーケット。
ここでは買物をすることができます。買える商品は大きく分けて食べ物,飲み物,タバコの3種類。こちらも何を買えるかはランダムです。健康的な食品を買って,自分の身体を健康に保ちましょう!
……なにやら健康とは縁遠そうな食品も見えますね。
自分の健康を維持するこのゲームでこんな食べ物を口にする機会があるんでしょうか? きっと役に立たないカードなんでしょう。
そしてフリーマーケット。ここでも商品を手に入れることができますが,こちらではお金で買うのではなく,手持ちの食品・薬品との交換になります。
最後は自宅。
先にお伝えした通り,まず自宅に行くとストレスが軽減されます。
そしてもう1つ,「食事」か「パーティー」のいずれかを行うことができます。
「食事」は自分の持っている食品を2つ選んで食べます。このとき食べ物,飲み物,タバコの3種類のうち同じものを口にすることはできません。
つまり,
このように食べ物と飲み物を1つずつ食べることはできますが,
このように食べ物と食べ物,タバコとタバコのように同じものを食べることはできません。何事もバランスが大切ということですね。
そしてもう1つの「パーティー」。こちらは自分の両隣にいるひとに食事を振る舞います。
大切な隣人たちです。最大級のおもてなしをしたいですよね。
パーティーなのにサラダや健康ドリンクなんて振る舞うんですか?
いやいや。やはりパーティーといったら脂ぎった肉料理や砂糖たっぷりのドリンクが欠かせませんよね。
隣人にはとってもおいしそうなパーティーフードを振る舞いましょう。
……え? そんな見るからに不健康な食べ物では隣人が不健康になってしまう?
やだなぁ。私はお隣さんによろこんでいただこうと思ってパーティーを開いただけですよ。
そして不幸にも友人が世を去ってしまった場合,生き残ったみんなで葬儀代を出し合います。このとき葬儀代を払えなかったプレーヤーは「大切な友人の葬儀なのに費用を出せなかった」ストレスが溜まります。
また,もし自分が参加しているパーティーでもう一人の参加者がなぜか急逝してしまった場合,同じパーティーに参加していたというストレスが溜まります。そしてそのパーティーの主催者は参加者以上のストレスが溜まります。
そんな日常を繰り返し,高血圧や高コレステロールで倒れていく隣人を眺めながら最後まで立っていたプレーヤーが勝利です。
例によって長くなりましたがプレイ感。
比較的気楽にできる「パーティーボードゲーム」です。
ただ,ご覧のとおりブラック・不謹慎なゲームなので盛り上がるかどうかはメンバーによるでしょうか。あまり初対面の相手とはやらないほうが良さそうです。
ルール自体はそれほど複雑ではなく,プレイも焦らされるような場面はないので比較的簡単です。
ハード面の難を言えばメインのボードが大きいことに加え,個人のステータスを記録するボードがそれなりに大きいのでプレイスペースはかなり必要です。参考までに我が家の750mm*750mmのこたつ机では足りませんでした。
そしてゲーム自体ですが,みなさんが自分の健康だけを気遣って生活していればかなりゲームは長引きます。
ゲームを決める大きな要素は「パーティー」。隣人には積極的に美味しいものを振る舞っていきましょう。
……そう,おそらくこの「パーティーボードゲーム」はみんなでワイワイできるパーティーゲーム! ではなく,「いかに隣人を地獄のパーティーに招待するかのボードゲーム」ということなのでしょう。
ただ冷静に考えると他人との関わりはパーティーしかないため,少しスピード感が欠けるかなという印象です。
スピードを求めるゲームではないとは言え,ちょっと中盤以降で停滞感が出てしまうかもしれません。ですがそこはみなさんの腕の見せどころ。プレーヤーが飽きないように上手く盛り上げてください。
最後に,これはプレイ中の会話を録音しておくとかなり面白いです。
我が家でのプレイ記録では25歳のうら若き女性や男性の口から
「高血圧がやばい」
「パーティーは隣人を地獄に落とすつもりで開け」
「……義理のお母様が……来た……」
「脂肪燃焼剤を使おう」
「仕事に行ったらストレスで死んじゃう」
などなど,迷言が飛び出しました。
というこのゲーム。
ブラックユーモアを共有できるメンツならば盛り上がるのでオススメです。
最後に,重ねてになりますが本記事はあくまでボードゲーム内の話であり,決して現実での違法な薬物の使用・不穏なパーティーの開催を推奨するものではありません。
お詫び:「イカサマゴキブリ:きゅんさんのイカサマ方法講座」はイカサマ方法の撮影に協力していただける方がいないため延期となりました。撮影ができ次第掲載いたします。