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編集者はボードゲームの夢を見るか

ボードゲーム好きな新人編集者のブログ。ボードゲームの本を作りたい。

Last Night on Earth

 この記事はボドゲ紹介 Advent Calendar 2016用の記事として書きました。
www.adventar.org

Last Night on Earth

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人数:2〜6人
ルールの難しさ:★★★★☆
プレイの難しさ:★★★★☆
プレイ時間:90〜120分

■目次

 ▶ゲームの紹介/概要
 ▶ゲームの流れ
 ▶プレイ感

■ゲームの紹介/概要

 Last Night on Earthはゾンビがはびこる世界を舞台にしたゲームです。

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 ゲームの舞台となるウッディンベイルの街。

 プレイヤーはゾンビ側1人ないし2人(以下,ゾンビマスター)と残りのプレイヤーからなる主人公側(以下,主人公)に分かれ,お互いの目的達成を目指します。


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 はびこるゾンビとそれに立ち向かう主人公。

 このゲームにはシナリオが複数あり,選ばれたシナリオによってプレイヤーの目的(=勝利条件)が変わってきます。主人公は街からの脱出を目指したり,街の人々の救出を目指したりします。
 一方のゾンビマスターの目的は,概ねで主人公の目的を阻止することにあります。

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 シナリオ集。基本セットのシナリオは全5種類。


 主人公たちにはさまざまな能力があり,各人の能力や街の中で取得したアイテムカード,さまざまなイベントカードを活用して目的達成を目指します。

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 主人公たち。それぞれ固有の能力をもつ。

 一方のゾンビマスターには特別な能力がありません。
 しかし,主人公がアイテムを得るように,さまざまなイベントを起こすカードを駆使して主人公の行動を阻みます。

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 ゾンビカード。ゾンビは増殖し,祈りは届かず,天候さえも主人公の敵となる。 

 ゾンビマスターは特定人数の主人公を死亡させることでも勝利となります。


 といったところがこのゲームの大体です。
 細かい流れは追って説明するとして,さっそくウッディンベイルの街を救いに(あるいは元住民を仲間に引き込みに)いきましょう。


 なお,本記事中で使用している和訳はゾンP氏のブログ『死霊のニコ動』内で公開しているものを使用しています。
zomps.at.webry.info


■ゲームの流れ

 ゲームが始まる前に,今回の舞台となる街を配置し,主人公のキャラクターを決めます。

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 今回のウッディンベイルの街。街タイルは複数あり,毎回異なるマップとなる。


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 今回選ばれた主人公たち。

 次はゾンビマスターの準備です。ダイスを2つ振り,街に設置されたXマークの各ゾンビピットに均等な数ずつ配置していきます。

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 Xマークがゾンビピット。ここからゾンビが発生する。


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 ゾンビ発生後のウッディンベイル。灰色が主人公,茶色と緑がゾンビ。

 これで準備は完了です。
 このゲームはおもにゾンビマスターが行動するゾンビターンと,おもに主人公が行動するヒーローターンとに分かれています。
 お互いに相手ターン中に割り込んで行動することもあるのですが,それはひとまず置いておいて,ぞれぞれのターンを見ていきましょう。

 これからは大まかな流れを説明していき,細部は省略します。
 詳細については,この章の一番下にこのゲームの要点をまとめたサマリーを用意しましたので,そちらをご覧ください。

 長文を読むのが面倒ならそれだけ見てもらってもOKです。

 なお,以下に書く内容は<上級ルール>を含みます。

ゾンビターン

サントラックマーカーの移動

 ゾンビターンが始まったら,まずはサントラックマーカーを1つ進めます。

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 サントラックマーカー。時間の経過を表し,一番下は日没/日の出の時間を意味する。

 このマーカーは,ときには主人公たちの希望となる日の出を表し,ときには日没を表します。
 どちらを意味するかはシナリオによって異なりますが,いずれにせよマーカーの移動は時間の経過を表し,マーカーが0になるとどちらかの陣営の勝利でゲームが終了します。

手札の補充

 その後は手札の補充です。
 ゾンビマスターの手札の上限は4枚ですが,その上限までゾンビカードを引きます

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 ゾンビカード。通常のカードとPlay Immediately/Remains in Playのカードがある。
 
 カードを使用できるタイミングはそれぞれのカードに書かれており,基本的にはそれぞれ使い切りです。
 しかし例外もあり,Play Immediatelyカードは手札に加えたとき即座に使用しなければならず,Remains in Playカードは場に残ったまま効果を発揮し続けます。

ゾンビ発生チェック

 このターンに新たなゾンビが発生するかの判定をおこないます。
 ダイスを2つ振り,出目の合計が今いるゾンビの数よりも多い場合,ターンの最後にゾンビが発生します。

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 ゾンビが11体いる状況。新たなゾンビは発生しにくいが,11体いるゾンビがすでに脅威。


ゾンビの移動

 発生チェックあとはいよいよゾンビの進群です。
 それぞれのゾンビは8方向に1マスずつ移動します。

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 ゾンビはそれぞれ1マス移動する。ゾンビの移動は遅いが,ボードの中央では1マスが大きい場合があるので注意。


戦闘

 移動後,主人公とゾンビが同じマスに入った場合には戦闘が発生します。

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 主人公とゾンビの戦闘。1対1になることも,1対複数になることもある。

 戦闘については後でまとめて書きます。
 あせらないあせらない。あとまわしあとまわし。

ゾンビの発生

 ゾンビの発生チェックに成功している場合,ここでゾンビが発生します。
 ダイスを1つ振り,出た目の数だけゾンビをゾンビピットに配置していきます。

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 ゾンビが発生したゾンビピット。ここでも,それぞれのゾンビピットでゾンビ数ができるだけ等しくなるように置く。


 ゾンビターンは以上です。
 ここからはヒーローターンを見ていきましょう。

ヒーローターン

 ヒーローターンでは,それぞれの主人公が順番に手番をおこなっていきます。
 ここでは1人ぶんの手番の流れを見ていきます。

移動/捜索

 手番が始まると,その主人公はダイスを1つ振った後,移動捜索かを行ないます。

 移動を選んだ場合はダイスの出目分移動します。
 主人公が建物内にいる場合は捜索を選ぶこともできます。
 捜索を選んだ場合,ヒーローカードを山から1枚手札に加えます。

 ヒーローカードにはイベントカードとアイテムカードがあり,イベントカードは使うまで手札に持ち,アイテムカードは表にして装備します。

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 イベントカードとアイテムカード。アイテムカードは4つまで所有できる。そのうち武器は2つまで。


交換

 同じマスにいる主人公同士は持っているアイテムを交換することができます。

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 同じマスにいる主人公。1マスにゾンビ・主人公とも何体でも入れる。


遠距離攻撃

 遠距離攻撃用の武器を持っている主人公は,ゾンビに遠くから攻撃を仕掛けることができます。
 
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 遠距離攻撃用武器。銃のアイコンがついている。

 それぞれの遠距離攻撃武器には射程距離が定められており,その範囲内のマスにいるゾンビに攻撃が可能です。
 例外もありますが,射程については概ね ”射程内の当たりそうな場所にいるゾンビには当たる” と思っていて問題ありません。


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 ヒーロー(灰色)の遠距離攻撃。「Range(射程距離):3」のリボルバーを持っていれば,茶色のゾンビには攻撃可能。緑のゾンビは攻撃不可。3マス以内でも壁の向こうにいるゾンビは基本的に狙えない。
 

接近戦

 その後,ゾンビと同じマスにいる場合には接近戦(戦闘)が発生します。
 が,ここも後述としましょう。


 以上が主人公の手番でできる行動です。
 この手番をそれぞれの主人公が順番におこない,ヒーローターンは終了。ゾンビターンに戻ります。

 これらを繰り返す中で,お互いの目的達成を目指します。

 
 さて,ここまで大まかな流れだけを見てきました。
 細部まで説明するとキリがないので詳細については後述のサマリーを見てもらうとして,ゲームの肝である戦闘だけ細かく見てみましょう。

戦闘(接近戦)

 ゾンビの戦闘も,ヒーローターンの接近戦も基本的には同じルールです。

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 ゾンビ対主人公の戦闘。

 戦闘が始まると,主人公は2つの,ゾンビマスターは1つのダイスを振ります。
 出た目(合計ではなく,最大の出目)をくらべ,主人公の方が大きければ主人公の勝ち。ゾンビマスターの方が大きい,もしくは同値ならばゾンビの勝ちです。

 主人公が勝った場合,なんとか目の前のゾンビを切り抜けたものとして戦闘が終了します。
 お互いの状況に変化はありません。

 ゾンビが勝った場合,主人公に1ダメージを与えます。


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 ダイスは主人公が5と1,ゾンビマスターが3。一時的に目の前のゾンビを退けたが,事態が好転したわけではない。

 ……ダイスを2つ振れるとはいえ,最大値が同じならゾンビの勝ち。最大値で勝ってもゾンビを減らすことはできない。
 これは主人公側に不利過ぎるのではないでしょうか?

 いえ,安心してください。
 ゾンビを倒す方法ももちろんあります!
 主人公の方が大きい最大値を出し,かつゾロ目を出した場合,そのゾンビを倒すことができます!

 ……方法があるとはいえ簡単なことではありません。
 というか,ほぼ不可能です。

 そんな圧倒的に不利な戦闘を補助してくれるのがアイテムです。

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 戦闘を有利にしてくれるアイテムたち。

 これらのアイテムは戦闘で使うダイスを追加してくれたり,ゾロ目を出さなくともゾンビを倒せるようにしてくれたりします。
 これらのアイテムを有効に使って戦闘を有利に運びましょう!

 ……もっとも,ゾンビマスター側も戦闘を有利にするためのカードを使ってくるので,ちょっと武器を持ったところで安心できないことは追記しておきます。

ゾンビと主人公の違い

 戦闘以外にも主人公とゾンビには違いがあります。
 主人公は生きていて,ゾンビは死んでいる,というの違いは当然ですが,ゲームに影響のある違いを一覧にしてみました。
 まとめて確認しちゃいましょう。

主人公・ゾンビの違い
  主人公 ゾンビ
移動速度 出目の分 1マス
移動時の壁 無視できない 無視できる
建物のドア 正面からのみ通れる 無視できる
その他移動制限 ゾンビがいるマスに入ると移動終了 主人公が隣接している場合,そちらへ移動する
体力 2〜3
攻撃時基本ダイス 2個 1個
遠距離攻撃 武器があれば可能 不可能
 
 ここまで書いてきましたが,正直長くてよくわからなくなってきたと思います。
 概要だけ掴んでもらうため,説明を省略したものもあります。

 というわけで,ルールを要約したサマリーを作りました。こちらからダウンロードしてご覧ください。
LNoE1_sum.pdf - Google ドライブ

 印刷してゲームで使用していただいても構いませんが,これを使う際は「なんかこのサマリー作った人ってイケメンらしいよ」と言い添えていただければ幸いです。


■プレイ感

 いやルールが長いしごちゃごちゃしてますね。
 長いしごちゃごちゃしてるんですが,このゲーム,非常に面白いです。いままで遊んだボードゲームなかで一番好きかもしれません

 そもそも僕はいわゆるゾンビモノの映画が好きなのですが,その理由として
 ・ゆっくりと,物量で逃げ場を塞ぎながら迫ってくるゾンビの恐怖
 ・味方だったはずの人間がゾンビとして襲ってくる絶望感
 ・ゾンビがゆっくり移動する故に発生する時間でのドラマ
 あたりのことが挙げられるのですが,このゲームではそれらの要素をすべて満たしていて,まるで映画のようなゲーム展開ができるのです。

 このゲームもゾンビは1マスずつしか動きませんが,最大4人の主人公に対し,ゾンビは最大14体発生します。
 歩みは遅いですがゾンビは壁や扉を無視して移動してきます。(壁や窓を突き破ってくるイメージでしょう)

 上の説明では省略しましたが,1マスに主人公と大量のゾンビが入ってしまった場合,主人公はそのすべてのゾンビを相手に戦わなければなりません
 武器なしでは当然厳しい戦いになりますし,武器があったとしても数体のゾンビを倒しているうちに破損してしまうかもしれません。銃弾も尽きるでしょう。

 斃れた主人公は,(条件によりますが)ゾンビマスターの操るゾンビヒーローとして復活します。
 通常のゾンビよりも体力がある強敵です。
 かつての仲間が主人公たちを襲い,その結果新たなゾンビヒーローが生まれてくるかもしれません。
 
 イベントカードの内容によっては主人公たちのなかで不和が生じることもあるでしょう。あるいは英雄的な決断をした誰かがゾンビをなぎ倒していくかもしれません。地球最後の夜を過ごす中で,愛が芽生え,一時的に行動ができなくなる主人公が出てくるかもしれません。

 これも上では説明を省きましたが,遠距離攻撃をする際,通常壁越しでは攻撃できないものの,主人公が壁に隣接しているときだけはそこにあるはずの窓から撃っているという体で攻撃可能になるところも芸が細かくで好印象です。
 ゲームには関係ありませんが,それぞれの主人公にストーリーが設定されているところもGood。


 ゲームとして見ると,非常にバランスがよくできている印象があります。
 このゲームは1人(ないし2人)対多人数という構造ですが,このようなゲームでは,ゲームを面白くするために1人の側が手心を加えることもままあります。
 手心を加えることの是非はさておき,このゲームではほとんどの場合で終始ギリギリのせめぎあいになります。

 もちろん,ダイスを振るゲームですので運次第では(どちらの陣営のにしろ)一方的なゲームになる場合もありますが,よほど出目が偏らない限りは最初から最後まで緊張感のあるゲームを楽しめます。

 そんなLast Night on Earth。
 一時期は入手も難しかったように記憶していますが,執筆時点では比較的入手しやすいようです。
 遊びましょう。

 そして最後に重ねてになりますが,本記事中のサマリー使用する際は「なんかこのサマリー作った人ってイケメンらしいよ」と言い添えていただければ幸いです。
 噂で噂をよびましょう。