今回紹介するのは私の大好きなゲームです。
City of Horror
人数:3〜6人
ルールの覚えやすさ:★★★☆☆
プレイの難しさ:★★★☆☆
プレイ時間:90分〜
他人を犠牲にしてでも生き延びろ!
■目次
▶ゲームの紹介/概要▶ゲームの流れ
▶プレイ感
■ゲームの紹介/概要
さて。このCity of Horrorはゾンビが出てくるゲームです。
Mall of Horrorというゲームのリメイク版のようですね。
ストーリーはこんな感じです。
ゾンビの発生から1ヶ月。すでに多くの犠牲者が出ているが,ゾンビ化のワクチンがついに完成したそうだ。まもなくこの街にも届くらしい。
……なんということだ。ワクチンを輸送してきた救急車と救援物資を詰んだトラックが衝突してしまうなんて……。
だがまだ希望はある。今から4時間後,救助のヘリがやってくるとのことだ。
ただし,そのヘリで脱出できるのワクチンを持っている者のみ。
ヘリがやってくるまでに街に散らばったワクチンを見つけ出さなければならない……
このゲームの目的はワクチンを手に入れ,ヘリが到着するまで生き延びることです。
さて。ゾンビが徘徊する街で生き延びるにはどうしたらいいでしょう?
フェンスで囲まれてはいるものの,ご飯が待ちきれない様子のゾンビのみなさん。
ゾンビと戦いますか?
悪くはありませんが不正解です。バットを振り回して2〜3体倒したところで,ゾンビの群れの前ではなすすべもないでしょう。英雄になろうとしてはいけません。
では逃げましょうか?
非常におしい。逃げるにしてもここはゾンビの群れの中。なんとかして逃げる隙を作らなければいけません。
ではどうやって隙を作ればいいか。
隣人をゾンビの餌にしてその隙に自分は生き残る。
これが正解です。
幸いにもこのゾンビたちは,1人を襲うとほかの生存者には目もくれません。
さあ,多数決で犠牲者を決めて,なんとしても自分だけは生き延びましょう!
■ゲームの流れ
このゲームでは,各プレイヤーが複数人のキャラクターを動かします。
キャラクターコマ。赤いスタンドの3人がプレイヤーAの動かすキャラクターで青いスタンドの3人がプレイヤーBの動かすキャラクター。
キャラクターはそれぞれ異なった能力と勝利点をもっています。
4時間(4ラウンド)後,無事に自分のキャラクターをヘリに乗せることができれば(=生存キャラクターの人数分のワクチンを所有していれば),そのキャラクターに応じた勝利点を得ることができます。
そしてゲーム終了時に勝利点をもっとも多くもっているプレイヤーの勝利です。
まずはキャラクターを見ていきましょう。先にも書いたように,キャラクターは能力と勝利点をもちます。
たとえば「板前/The Sushi Chef」の能力は「アクションカードを1枚引く」で勝利点は4です。

キャラクターカード。能力と勝利点が描かれています。左上の大きな数字が現在の勝利点です。
「アクションカード」については追って説明しましょう。
このように便利な能力と勝利点を持っているキャラクターですが,彼らは能力を1度使用すると疲れてしまい,カードが裏返ります。

板前/The Sushi Chefの裏面。数字が小さくなっています。
裏面になっているカードは表になるまで能力を使えませんし,勝利点は下がります。
つまり,基本的に能力は連発できないし,生き延びたとしても能力を使ってしまうと得点が少なくなるということです。
続いてみなさんが身を隠す街の紹介です。
街は大きく分けて6カ所に分かれており,各場所には能力があります。
ゲーム中,各キャラクターは他の場所へ移動することができますが,その移動が制限されることもあります。
たとえば教会を見てみましょう。
教会の能力は,「自分のアクションカードを1枚捨てることで「裏面」のキャラクターを表面に戻すことができる」です。
そしてよく見ると,教会には白い四角が4つ書かれています。これはこの場所には最大4人のキャラクターしか入れないということを意味します。すでに4人のキャラクターがいる教会に移動しようとしてしまった場合,教会に入れなかったキャラクターは何も身を隠すものがない交差点に行くしかなくなってしまいます。
「キャラクターの能力」「場所の能力」のほかにプレイヤーを助けてくれるのが手札となる「アクションカード」です。
ショットガンや火炎瓶など,便利なアイテムが盛りだくさん。
この3つを上手く使ってキャラクターを4時間(=4ラウンド)生き残らせましょう。
ではゲームを始めます。
各プレイヤーがキャラクターを受け取り,自分のキャラクターをボード上に設置します。
そしてアクションカードを持ち,初期ゾンビを配置したら第一ラウンドがはじまります。
ラウンド中のそれぞれのフェイズを追っていきましょう
フェイズ1:給水塔
ラウンドが始まったらまずおこなうのは給水塔の能力の使用です。
給水塔の上にキャラクターがいる場合,そのキャラクターをもつプレイヤーは,次にゾンビがどこに侵入するのかを知ることができます。
給水塔。キャラクターは高いところにいるのでゾンビの動きが手に取るようにわかります。
ゾンビがどこに発生するかはランダムに選ばれた侵入カードによって決まります。給水塔にキャラクターがいるプレイヤーはそのカードを覗き見ることができます。
今回は第一ラウンドなので1時のカードを確認します。
ゾンビの発生する場所以外にもワクチンやアクションカードが落ちている場所をほかのプレイヤーよりも早く知ることもできるので,給水塔にキャラクターを置くと非常に有利になります。
が,この給水塔。ある条件を満たすと爆発します。爆発した場合,給水塔の上にいたキャラクターはここにいたすべてのゾンビとともに死んでしまいます。なんということでしょう。
フェイズ2:移動先の決定
各プレイヤーは毎ラウンド1人のキャラクターを移動させることができます。
その移動先をこのフェイズで秘密裏に決めておきます。実際に移動するのはもう少し先の話です。
フェイズ3:侵入
街の外にとどめておいたゾンビがフェンスを越えて侵入してきました!
「1:給水塔」で確認した侵入カードを表にし,その指示通りの場所にゾンビやワクチンを配置します。
フェイズ4:キャラクターの移動
ゾンビの発生を受けて移動することにしたキャラクターたち。
順番に「2:移動先の決定」で決めた場所に自分のキャラクターを1人移動させます。
ただし忘れないでください。各場所には定員があり,入れなかったキャラクターは身を隠す場所のないの交差点に追いやられます。
フェイズ5:場所の処理
このゲームの核となる部分です。
まずキャラクターがいる場所の能力を使用できます。
全員が能力を使用したら,いよいよゾンビの襲撃です!
その場所にいるゾンビの数が一定数以上になるとゾンビは襲い掛かってきます。
ここでもう一度教会を見てみましょう。ボードにこのようなアイコンが描かれています。
これは「この場所に3体以上のゾンビがいると攻撃してくる」という意味です。
現在ゾンビは4体いますので,このままでは襲撃されてしまいます!
囲まれた……
ここで役に立つのがキャラクターの能力やアクションカード。これらは基本的にいつでも使用できます。
たとえば教会にいるキャラクターの「守備兵と犬のレックス」の能力「今いる場所のゾンビ2体を撃退する」を使ったり,ショットガンのカードを使用してゾンビの数を2体以下にすることができればそのラウンドは襲撃が起こりません。
今回は誰も能力やカードを使わず,襲撃が起こったとしましょう。
冒頭でも書きましたように,このゾンビたちは1人を食べると満足して帰っていきます。そこで,襲撃が起こった場合には投票で犠牲者を決めます。
投票前には交渉の時間があるので慎重に話しあいましょう。
「俺がもってるワクチンを1つ分けてやるからあいつに投票してくれよ」
「このままだとあいつの勝利点が高くなるからここは死んでもらおう」
「さっき助けてやっただろ?」
「あいつに投票してくれるなら,別の場所にいるお前のキャラクターを助けてやるよ」
「お前はこんな幼い少女をゾンビの餌にする気か?」
「た,助けてくれ!! 死にたく……死にたくないいい!!!」
交渉の方法は自由です。
投票がおこなわれたら,哀れな犠牲者はゾンビの餌になります。
そのキャラクターは死んでしまい,当然勝利点にはなりません。
もしもその場所にワクチンやアクションカードが落ちていた場合,さらに投票をおこないます。2回目の投票によって選ばれた人がこれらをどう分配するかを決めるのです。
これら処理をキャラクターのいるすべての場所でおこないます。
以上がゲームの流れです。
交渉が肝のゲームだということがお分かりいただけたでしょうか。
これを4ラウンド繰り返し,4ラウンド目が終了した時点(=4時刊が経過した時点)で各プレイヤーは生存している自分のキャラクター1人につき1つのワクチンを使用します(=捨てます)。このキャラクターたちは無事脱出です! おめでとう!
え? ワクチンが足りない? 悪いなのび太。このヘリはワクチンを打った人専用なんだ!
■プレイ感
はい。私はこのゲーム大好きです。以前何かのときに書いたかと思いますが,まずゾンビが好きなんです。
いまでこそどことなく愛嬌のあるモンスターとして使われることもあるゾンビですが,「自分の愛する人や友人が姿を変えて襲ってくる恐怖」そして「味方の数が減るのに比例して増える敵という恐怖」。もう最高ですね。
閑話休題。
ゾンビというテーマに加えて,交渉と投票がゲームの肝になることも面白い。
投票は1人1票なので,同じ場所に自分のもつキャラクターが複数人いれば,それだけで投票が有利になります。たとえば3人しか入れない場所に自分のキャラクターが2人いれば,もう投票などおこなわず最後の1人を犠牲者にすればいいだけですからね。
とはいえそれも一筋縄ではいきません。
そんな明らかに危険な場所には誰も行こうと思わないでしょう。きっと。するとほかの犠牲者が見つからず,自分のキャラクターをゾンビに差し出さなければいけません。とてもいいジレンマです。
そして交渉がまとまったからといって安心はできません。
たとえばAさんがBさんに「ワクチンをあげるからCに投票してくれ」という交渉を持ちかけたとしましょう。ここでBさんはワクチンを受け取ったからといって,Cさんに投票する義務が発生するわけではありません。当然Aさんに投票することも可能です。
もしここでBさんがAさんに投票し,Aさんのキャラクターがゾンビの餌になったとすれば,Aさんは大切なキャラクターを失った上に,ワクチンまで失ったことになります。
裏切りが発生する可能性があり,その裏切りによって一発逆転も可能。
もう私の好きな要素しかありません。最高。
またキャラクターも魅力的です。
ゾンビ2体を撃退できる「守備兵と犬のレックス」,そんな守備兵と同等の戦闘力を誇る「主婦」。
「金髪美女」は勝利点が高いものの移動のたびにゾンビを引き寄せてしまいます。
それぞれの場所には定員があるのに,その定員を押し分けて割り込む「オバサン」。
どのキャラクターも面白い能力をもっています。
そんな数あるキャラクターの中で最強と思われるのが「妊婦」。
妊婦が最強ってどういうことだよ!と思われるかもしれませんが,妊婦はお腹の中の子供の分も投票権があります。つまり,1人で2票分の投票ができるのです。
投票が肝になるゲームでこの能力は反則級。さらに,ほかのキャラクターは1度能力を使うと疲れて裏面になり,表面になるまで能力を使えません。しかし妊婦は毎回2票分の投票をすることができます。裏面にはなりません。何かがおかしい。
普通これだけの強キャラクターであれば,ほかのプレイヤーが団結して真っ先にゾンビの餌にしそうなものです。しかしそこは妊婦。「さすがに妊婦をゾンビの餌にするのは……」と倫理的なことを考えてしまい,妊婦に投票しにくいという隠された能力も持っています。
強い,妊婦強い。
というCity of Horrorですがいかがでしたでしょうか。
私は本当にこのゲーム好きなんです。
しかしこんな大好きなゲームにも1つだけ欠点があります。
それがこれ。
ゾンビコマ。数がたくさんあり,イラストも何種類かあって非常に素晴らしいのですが,ゲーム開始時にはすべてのゾンビをいちいちスタンドにはめこまなければいけません。非常に面倒くさい。
……ん?
大量のゾンビコマ?
やぁ。
イエーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!
Zombies!!!のゾンビトークンを使えばいいじゃないか!
最高! Zombies!!!本当に最高だよ!
みなさんも是非買いましょう! ZOMBIES!!!
あった! ありました! ゾンビバッグです!! 高い!!!
こっちが本物City of Horror。いまこんなに高いんですね。