編集者はボードゲームの夢を見るか

ボードゲーム好きな新人編集者のブログ。ボードゲームの本を作りたい。

K2

 ホワイトクリスマスには君と二人で景色のいい場所に行きたいな……。

K2

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人数:1〜5人
ルールの難しさ:★★★☆☆
プレイの難しさ:★★☆☆☆
プレイ時間:60分

 目指すはあのK2の頂上!

 この記事はボドゲ紹介 Advent Calendar 2015に向けた記事です。

■目次

 ▶ゲームの紹介/概要
 ▶ゲームの流れ
 ▶プレイ感

■ゲームの紹介/概要

 「K2」はその名の通り,エベレストに次いで標高の高い山,K2(標高8611m)の登頂を目指すゲームです。
 「雪山登山」を本格的に楽しめるボードゲームになっています。(僕は雪山登山をしたことがないので確かなことは言えないのですが)

 各プレイヤーは2つの登山者コマを操作します。

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 登山者コマ。彼ら(彼女ら)がK2の踏破を目指す。

 そんな彼らが挑戦するK2がこちらです。

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 K2ボード。このK2の少しでも高い地点を目指すことがゲームの目的。

 登山で重要な事は頂上へのルートです。
 このK2ボードにも2つのルートがあります。ゲーム開始時にどちらのルートで挑戦するかを決めます。


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 K2ボードのルートA。空が明るく,こちらの面の方がeasy。
 
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 K2ボードのルートB。空が暗く,こちらの面の方がhard。

 そして山の天気は変わりやすいもの。K2の天候も天候タイルによって刻一刻と変わっていきます。


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 天候タイル。天候は毎ラウンド変わっていく。

 自分の各コマが登った高さに応じて勝利点を手に入れ,その合計がいちばん高いプレイヤーの勝利です。
 ただし気をつけてください!!
 命を落とすこともあるほど危険な登山です。
 もし途中で登山者の体力がゼロになってしまったらその登山者は脱落,点数も最低の1点に戻ってしまいます。

 K2を踏破することができるか。
 そして生きて帰ることができるのか。
 
 クリスマスは雪山に行きましょう!

■ゲームの流れ

 まずはルートA,ルートBのどちらから頂上を目指すかを決めます。
 また,天候タイルも夏の天気(easy)と冬の天気(hard)の2種類があるのでどちらを採用するか決めましょう。
 
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 今回のK2。ルートはA(easy)で天候は冬(hard)なK2に挑戦します。

 そして登山者コマを各種1つずつK2の麓に設置します。

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 K2の麓に集合する登山者たち。なで肩といかり肩? 今回は4人プレイということで各色2個×4人分の8個の登山者コマがある。


 登山者コマはもう一組ありますが,こちらはK2ボード右端の得点計算ゾーンに置きます

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 得点計算ゾーン。それぞれ,対応する登山者コマが獲得した得点を表す。


 そして登山者コマには,それぞれ体力があります。

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 体力ボード。これでそれぞれの登山者の体力を管理する。初期体力は1


 この体力がゼロになってしまうとその登山者は屍に……。
 体力がゼロになった場合,どれだけ高いところに登っていようともその登山者の得点は1点になります。


 さて。登山の準備はできました。
 つぎに改めて山を見てみましょう。

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 K2ボード。各マスには数字が描いてある。白い横線は標高を表す。
 
 K2ボードはすごろく盤のようになっていて,各マスを登山者コマが移動します。
 それぞれのマスには効果があり,基本的に1マス移動するためには後述の移動力を1消費する必要があります。

 それぞれのマスの効果は大きく分けて3種類です。

青い丸のマス

 ここで移動を終える(またはこのマスから移動せずに留まる)と,その登山者の体力を1点回復できます。

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 青い丸のマス。K2の標高が低いエリアにはこのマスが多い。低いエリアで体力を整えてから頂上を目指そう。

赤い丸のマス

 ここで移動を終える(またはこのマスから移動せずに留まる)と,その登山者の体力を丸の数値分減少させます。

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 赤い丸のマス。標高が高くなるほど赤丸の数値が大きくなり,減少する体力も多くなる。

黄色い丸のマス

 ふつう,次のマスに行くためには移動力(後述)を1消費すればいいのですが,この黄色のマスに移動するためには丸の数値分移動力を消費します。

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 黄色の丸のマス。頂上に近づくほど消費する移動力が大きくなる。赤の登山者が1マス上に行くためには,3点の移動力を消費しないといけない。

緑・黄色・黒の旗

 このマスに入ったとき,その登山者は旗の数字分の勝利点を獲得します。この点は一度獲得すれば,下山しても下がることがありません。点数が下がるのは,その登山者の体力が0になったときだけです。

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 旗のマス。赤の登山者は黄色旗の「5点」のマスにいる。もしこのあと体力の限界を感じて4の旗の場所にまで下がったとしても,自分の得点は「5点」のまま。
 ではどうやって山に登るのかといえば,このカードを使います。
 
 というのがこのK2の全貌です。
 さて,どうやってこの山を登るのでしょうか。
 それには,このカードを使います。


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 カード。登山者コマの色のカードを受け取る。

 カードの内容は大きく分けて移動カード回復カードの2種類です。

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 カードの表面。左上に緑の数字があるものが移動カードで,青の数字があるものが回復カード。

 まずは回復カードの説明から。
 これは言うまでもありませんね。
 このカードを使うと,どちらかの登山者コマの体力をカードの点数分だけ回復させることができます。

 そして移動カード
 このカードの数字は移動力(前述)を表します。
 このカードを,2人の登山者に好きな様に割り振って山を登ったり,体力を回復したりします。

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 例。今回使用するカードは移動の2と3,そして回復の2。移動の2と回復の2を丸い方の登山者に。移動の3を角ばった登山者に使用することにした。


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 丸い登山者は移動力2を使って黄色い2の丸があるマスへ入り,体力を2点回復。その後,そのマスの赤い丸の効果で体力が1減少する。このマスには「4」の旗があるので,勝利点が4に増える。

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 角ばった登山者は,黄色い丸がないマス(移動力1消費)を3マス分移動。このマスにはなにもないので,ここで行動終了。


 さらにこのK2は雪山らしく,頂上に近づくほど1マスに入れる人数が減るという特徴があります。
 頂上に近づくほど足場が悪くなり,同時に大人数は入れないのです。

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 人数制限アイコン。このアイコンがあるエリアでは,4人で遊んでいる場合,1つのマスに1つまでのコマしか入れない。


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 人数制限アイコンその2。このアイコンがあるエリアでは,4人で遊んでいる場合,1つのマスに2つまでのコマしか入れない。


 そしてさらに天候も影響してきます。
 ラウンドごとに天候が決められ,この天候マーカーに指定された範囲の標高では天候が悪くなり,マスに追加効果が発生します。


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 天候マーカー。今回の天候は雪。白いバーで表された標高7000m以上のマスにとまると,追加で体力を2点消費する。

 という幾多の試練を乗り越えて頂上を目指すのがこのゲーム。
 ようやくゲームの流れの説明に入ります。

 まず各ラウンドの開始時に,今回の天候を決定します。


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 天候マーカー。今回の天候は雪。白いバーで表された標高6000〜7000mのマスに入るためには,追加で移動力が1必要。

 ゲーム開始時に各プレイヤーは6枚の手札を持っています。
 そしてこの中から今回使うカードを3枚決めて裏向きで出します。


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 今回のカードはこの3枚!


 そして全員がカードを出し終わったら,同時に表にします。

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 カードの公開後。各プレイヤーはこのカードを使って行動する。

 あとはそれぞれカードの効果を適用するだけなのですが,1つだけ注意が。
 このゲームではゲーム終了時に同じ得点のプレイヤーがいた場合,より高い位置に,先にたどり着いていたプレイヤーの勝利になります。つまり,勇気を出してほかのプレイヤーよりも少しでも先に進んだほうが有利なのです。
 しかし勇敢と蛮勇は紙一重。
 怖気づかずに先に進むためにはリスクを取ることが必要です。

 カードを公開したときに,出したカードの移動力の合計がいちばん高いプレイヤーは,リスクトークンを1つ受け取らなくてはいけません。

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 リスクトークン。0〜2までの数字が書かれているものをランダムに受け取る。上の場合は,移動力の合計の一番多い,右のプレイヤーが受け取る。
 
 リスクトークンを受け取った場合,今回自分が出したカードの移動力か回復力をリスクトークンの点数分減少させるか,今回移動した登山者コマの体力をリスクトークンの点数分減少させなければいけません。

 ひとに先んずるためには身を削る覚悟が必要なのです。


 ということを18回繰り返したらゲーム終了です。
 合計得点がもっとも高いプレイヤーの勝利です!

■プレイ感

 このゲームすごく楽しい!
 本当に雪山に登っているような緊張感です!! いえ,僕は雪山に登ったことはありませんが!!!

 頂上に近づけば近づくほど奪われてゆく体力,一歩進むことさえも困難になる。
 頂上を目指して進むか,大事を取って退くかの判断が非常に重要です。

 標高の低いエリアで十分に体力を整えれば無事登頂することができるかもしれませんが,そんなことをしていたらほかのプレイヤーが先に登頂してしまいます。
 
 そして変わりやすい山の天気。
 「今は晴天だ! 山頂へアタックを掛けるなら今しかない!」と思って勇敢にも山頂へ進んだら,翌日の天気は体力も移動力も奪う大雪。
 残念,彼の冒険はここで終わってしまった……。


 というように毎回ドラマが起こります。
 また,山頂近くは1マスに入れるコマの数に制限があるので,山頂近くに居座ってほかのプレイヤーの退路を断つ,なんていうことも可能です。
 うまくすれば,登頂したコマの下山を許さず体力を奪い続けることもできるでしょう。


 このゲームはルート(A/B)と天候(夏/冬)で難易度が分かれますが,どちらか片方は難易度を上げることをオススメします。
 そのほうが体力の減少が大きくなり,ヒリヒリとした登山を楽しめます。

 このゲームはひとり〜5人なら何人でも楽しめます。
 家族みんなで天気のいいK2に挑戦するも良し,ちょっとだけ難易度をあげてカップルでわいわい言いながら登山をするも良し,ひとりストイックに冬山のBルートへ挑戦をするも良しの,クリスマスにピッタリのゲームです!