11月のゲームマーケットにむけてどんどん紹介していきましょう。
エジプトの花嫁
人数:3〜5人
ルールの難しさ:★★☆☆☆
プレイの難しさ:★★☆☆☆
プレイ時間:20分
結婚するなら4人まで!
■目次
▶ゲームの紹介/概要▶ゲームの流れ
▶プレイ感
■ゲームの紹介/概要
エジプトの花嫁ではプレイヤーはエジプトの男性になり,「花嫁を4人もてる」という(らしい)エジプトの習慣に則って,花嫁を探すゲームです。4人までと結婚することができ,多くの花嫁を迎えることができたプレイヤーは高得点を得ることができます。
さて。
パッケージをもう一度見てみましょう。
エジ…プト……?
パッケージには一切エジプト感がありませんが,ゲームとしてはなかなか面白いジレンマがありました。さっそく内容を見ていきましょう。
このゲームで使うものは,4〜13までの数字が書かれた10種類の花嫁カードと花嫁カードに対応する花嫁チップ。これだけです。
花嫁カード。10種類で合計85枚。
花嫁チップ。花嫁カードに対応したチップが各1枚の合計10枚。
花嫁カードには4〜13までの数字が書かれており,各カードはその数字の数だけ存在します。
花嫁カードの枚数。たとえば,④の花嫁カードは4枚,⑤の花嫁カードは5枚ある。
ゲーム終了時に各花嫁カードについて,その種類のカードをいちばん多く持っていたプレイヤーは,その花嫁と結婚できます。おめでとう!
花嫁チップはゲーム終了時にボーナス得点かペナルティの失点になります。
さっそくゲームです。
ゲーム開始前に,85枚の花嫁カードから10枚をゲームから取り除きます。これらのカードは今回使いません。
そして残ったカードから,3枚をめくったらゲーム開始です。
ゲーム開始の状態。山札と3枚のカード。花嫁チップは適当な場所に並べておく。
■ゲームの流れ
このゲームでは,プレイヤーの選択肢はシンプルです。
自分のターンになったら,次の3つのアクションから1つを選んでおこないます。
- めくれている花嫁カード,または山札から1〜3枚のカードを手札に加える
- 手札から花嫁カードを1枚表向きで場に出す
- 花嫁チップを獲得する
なお,「3.」で獲得できるのは,自分が「2.」で公開している花嫁のチップのみです。そしてチップ獲得は早い者勝ち。
「1.」で手札を増やしていき……
「2.」で手札の花嫁カードを公開。
必要ならば公開したカードの花嫁チップを獲得する。
これを繰り返していき,ゲーム終了条件を満たしたら得点計算に入ります。
その終了条件とは,「手番の最初で1.〜3.のアクションのうち,1つしか選択できるものがなくなったとき」です。(ただし,1巡目は除く)
たとえば,山札をすべて引き切ったのち,取れる花嫁チップが一枚もないとき。この場合,2.しか選べないためゲーム終了です。
あるいは,手札が一枚もなく,取れる花嫁チップもないとき。この場合,1.しか選べないためゲーム終了です。
ゲームが終了したら,いよいよ得点計算です。
2.のアクションで場に出した花嫁カードも一度手札に戻し,全員が手札の花嫁カードの枚数を確認していきます。
数字が小さいカードから確認していきましょう。
まず,全員が④の花嫁カードを出します。
このとき,いちばん多く④の花嫁カードを持っていたプレイヤーは無事④の花嫁と結婚することができました。おめでとう!
自分が2枚,左右のプレイヤーが一枚ずつ④を持っている。この場合は自分が④の花嫁と結婚。
花嫁と結婚できた場合,1ポイントを獲得です。もし,その花嫁のチップももっていれば,追加で1ポイントを獲得です。
上の例では,④の花嫁チップも獲得しているので結婚の1ポイントとチップの1ポイント,合計2ポイントを獲得。
ただし,花嫁チップを持っているのに該当の花嫁と結婚できなかった場合,マイナス1ポイントになります。
これを繰り返し,13までの各花嫁カードの結婚相手を決めていきます。
ゲーム終了時の様子。
ただし!
最初にも書きましたとおり,結婚が許されているのは最大4人まで。5人以上の花嫁と結婚してしまったプレイヤーはゲームから脱落です。
最終的に,4人以内の相手と結婚していて,獲得ポイントが最大のプレイヤーの勝利です!
■プレイ感
このゲームはハイテンション利休をつくったチキンダイスゲームズさん制作のゲームなのですが,あいかわらずおもしろいジレンマのあるゲームです。欲張って大量の花嫁カードを引いてしまうと,不本意な結婚が起こってゲームから脱落してしまう可能性がありますが,ある程度は花嫁カードを獲得していかないと結婚できません。
5人と結婚できてしまいそうな手札。モテる男はつらい……。
ゲームが進むと,花嫁チップや獲得カードのようすから相手の手札が見えてくるので,考えることも多くなります。
個人的にいちばんおもしろかったのは,アクション「2.」をめぐる駆け引きです。
アクション「2.」で花嫁カードを公開すると,ほかのプレイヤーに対して
「俺はこの子を過半数集めたからチップを取りにいくよ。お前らはもう集めても無駄だからほかの子にいきな」
という無言のアピールができます。もちろんそのアピールはハッタリで,ほかのプレイヤーが同じカードを集めないようにしているだけかもしれません。
「⑩美ちゃんと⑤子ちゃんはもうかなり集めたから,お前らはがんばっても無駄だよ」アピール。本当はこれから10を集めたい。
しかし,「ハッタリだと思って同じ花嫁カードを取りに行ったら本当にその花嫁カードを過半数集めていて,無駄な手になってしまった」なんてこともありました。
このあたりの駆け引きがアツかった。
「終了のタイミングをプレイヤーが作れる」のも,何か悪さができそうでおもしろいところ。
「1〜3のアクションのうち,1つしか取れなくなったらゲーム終了」ということは,以下のとおり,最速で4手でゲームが終わります。
1手目:カードを1枚引く
2手目:そのカードを場に出す
3手目:そのカードのチップを獲得する
4手目:ゲームセット
これを活かした勝ち方もつくれそうですが,ちょっと私には思いつきませんでした。
ということで予想以上の駆け引きがあったエジプトの花嫁ですが,気になる点もいくつか。
まずはカードの枠について。
もう一度カードを確認してみましょう。
花嫁カード。左の下地に色が塗ってある部分が問題。
デザイン上の問題でしょうか,このカードには枠がついていません。
枠があるカードの例。外周の白フチの部分を枠とよんでいます。
枠がないとどうなるか。山札を横から見てみましょう。
横から見た山札。これは……?
そう。枠がないと,なんとなくどの色のカードがどの辺りにあるかわかってしまいます。
紳士協定で見ないようにすればいいという話でもありますが,やはり気になるものは気になってしまう。
スリーブに入れれば解決するでしょうか?
もうひとつ気になったのは,はじめて遊ぶときは,何をしたらいいのかわかりにくい(であろう)ところ。
何ゲームか遊んでいると勝ち方や手札の調節のしかた,誰かの勝ちを防ぐための協力のしかたがわかってくるのですが,正直1ゲーム目(特に前半)は何をしたらいいのかわかりません。
「……? とりあえず花嫁カードを引いておくか……?」となりがちでした。
とはいえこれは何かで解決できるものでもなさそうですし,1回15〜20分で終わるので,1ゲーム目はお試しのつもりでやってみるとよさそうです。
2〜3ゲーム目からは相手の手札が見えてきたり,どんなことを考えればいいのかわかってきてどんどん楽しくなってきます。
そして最大の問題は,やはりパッケージにエジプト感がないこと……だったのですが,ゲームマーケットで発売される拡張版のパッケージはエジプト風になっているようですね。
よかった。
余談ですが「エジプトでは4人まで花嫁をもてる」というのは,厳密にはイスラーム法で「最初の妻が許し,後妻が先妻のストレスにならないこと,すべての妻と平等に接する等の条件を満たせば4人まで娶ることを許されている」ということのようですね。
一夫多妻制をゲームにすることについては一家言ある方もいるかもしれませんが,「イスラームを知る32章」より一文を引用して記事の締めとします。
例のごとく、非難しようと思えばそういう状況はいくらでも見つけられるだろうが、真のイスラームの一夫多妻婚はつねに妻の同意のもとに行われる。
(P.280)
このゲームです。ゲームマーケットで販売される拡張はこの基本セットがないと遊べないとのこと。
余談の出典です。