全国1億2000万人の図書館情報学徒のみなさんこんにちは。
本日は紹介するのはこちらのゲームです。
ビブリオス
中世の修道院長になって装飾写本をつくろう!
人数:2〜4人
ルールの覚えやすさ:★★★☆☆
プレイの難しさ:★★☆☆☆
プレイ時間:30分
■目次
▶ゲームの紹介/概要▶ゲームの流れ
▶プレイ感
■ゲームの紹介/概要
世に言う「競りゲー」です。
ただ競りをするだけでなく,競りで使うための資金の貯め方がなかなか面白いゲームになっています。
あなたは中世のキリスト教僧院の修道院長になり,他の修道院長に自慢することのできる装飾写本を作ります。
装飾写本ってなんだとという話ですが,ゲームの本筋とは関係無いですし,簡単に説明をしましょう。
昔は(主に宗教関係の)本を修道士の手書きで複製していました。それが写本です。そんな写本のうち,文字だけでなく綺麗な飾りをつけたものが装飾写本です。
このゲームの話だけで言えば,「豪華な手書きの本」だと思ってください。
もっと詳しく知りたい方は
あたりをおすすめします。
閑話休題
そんな装飾写本の蔵書を他の院長に自慢したいあなたは,腕の良い写字生(写本職人)を雇い,豪華な装飾をするための顔料を手に入れなければいけません。
また,写本のための原本も必要になってきます。そこで聖書・禁書・手稿も集めることにしました。
このゲームでは他のプレイヤーよりも優秀な修道士(写字生)・顔料・聖書・禁書・手稿を多く集め,高得点を得ることを目的としています。
このゲームで使うのは、
1枚のボードと
5個のダイス
そしてカードです。
カードの種類は,大別すると次の7種類です。
聖書(1点と2点)
禁書(1点と2点)
手稿(1点と2点)
顔料(2点,3点,4点)
修道士(2点,3点,4点)
金貨(1金貨,2金貨,3金貨)
教会
上から5つのカードにはそれぞれ価値(数字)が書かれており,ゲーム終了時にカードの分野ごとに価値を合計し,各分野で最も合計点の高いプレイヤーが得点を得ていきます。
金貨は競りの資本になるカードです。
このゲームは基本的に,競りによって自分に必要なカードを手に入れていきます。
教会カードは追って説明します。
さて。もう一度ボードを見てみましょう。ボードの上には,このようにダイスを配置します。
ボードには左から,修道士・顔料・聖書・手稿・禁書のアイコンが描かれています。
ゲーム終了時に,各分野で最も合計点の高いプレイヤーはそこに置かれているダイスの目の分だけ得点を得ます。
このダイスの目ですが,ゲーム開始時はすべて3です。
ですが教会カードを使えば,司教様からの懇意を受けていずれかのダイスの目を±1することができます。
自分が集めている分野の得点を高めることもできますし,他のプレイヤーの集めていそうな分野の得点を下げることもできます。
さあ,写本づくりを始めましょう。
■ゲームの流れ
このゲームは大きく分けて,ふたつのフェイズがあります。ひとつは寄進フェイズ。もうひとつは競りフェイズです。
どちらのフェイズも基本的にはターン制で動いていきます。
寄進フェイズ
寄進フェイズでは,競りの資本となるカードを手に入れます。
まずターンプレイヤーは,山札から1枚のカードをめくります。
めくったカードは以下の3箇所のうちどこかに置きます。()内はカードを置くときの状態です。
自分の手元(裏向き)
共有のカード置き場(表向き)
競り用のカード置き場(裏向き)
このカードをめくり,上記のどこかに置くということを(プレイヤー人数+1)回繰り返します。ただし,それぞれの置き場には以下の枚数しかカードを置くことができません。
自分の手元:1枚
共有のカード置き場:(プレイヤー人数-1)枚
競り用のカード置き場:1枚
もし最初の1枚を自分の手元においた場合,2枚目以降は共有のカード置き場か,競り用のカード置き場にしか置くことができません。
たとえば3人でゲームをしている場合は4枚のカードを置きます。このとき,4枚を一気にめくるのではなく,1枚めくって置くことを4回繰り返すのだということに気をつけてください。置き終わるとこのようになります。
カードの配置が終わったら他のプレイヤーはターンプレイヤーの左の人から順に,共通のカード置き場にあるカードを1枚手札として獲得していきます。
共通のカード置き場のカードを配分し終えたら,自分の手元においたカードを手札として獲得し,ターンは終了です。次の人の番になります。
競り用のカード置き場のカードはすべてそのままにしておきます。
このとき,教会カードを獲得したプレイヤーは,その場で教会カードを使わなければいけません。
カードに書かれた数だけ,すきなダイスの目を増減させます。
この教会カードを獲得したので
このダイスの目を……
増やす!
これを山札が尽きるまで繰り返したら寄進フェイズ終了です。
競りフェイズ
さあ,いよいよ競りです。
寄進で溜め込んだ金貨カードを使って必要なカードを買いあさりましょう。
先ほどの寄進フェイズで溜まった用のカード置き場にあるカードが,今度の山札になります。
山札を切ったら,1枚のカードをめくります。
寄進フェイズの開始プレイヤーから競りが始まります。
開始プレイヤーは,めくれたカードに対していくらまでなら金貨を払えるか宣言します(欲しくない場合はパスを宣言します)。
修道士の4は絶対にほしい
手札はこんな感じか…俺は3金貨払うぞ!
このとき実際に金貨を見せずに,金額だけを宣言することに気をつけてください。
ここで金貨を見せずに金額だけを宣言することで,競りの醍醐味である価格の釣り上げをすることができます。
釣り上げってどういうことでしょうか? たとえば,
「(あいつは顔料の4をほしそうだな…… 俺はいらないけど少しでも多く金貨を払わせるために……)4金貨払います!」
というように,相手への嫌がらせとして,自分は不要なのに入札をすることを指します。
もちろん,読み違えて自分が落札してしまったら金貨を支払わなければいけませんし,もし手持ちの金貨よりも大きい金額を宣言してしまい支払うことができなければ,ペナルティがあります。
が,この価格を釣り上げた時の緊張感が競りゲームの醍醐味だと思いませんか?
さて,次は左隣のプレイヤーが入札する番です。
めくれたカードがほしい場合は,今の最高値よりも1以上大きい金額を宣言します。または欲しくない場合,パスを宣言します。
これを繰り返していき,1人以外の全員がパスを宣言したらこのカードの競りは終了です。
最高値をつけたプレイヤーは宣言した金額を支払い,カードを獲得して手札に加えます。
このとき,支払った金貨カードに対して,お釣りは発生しません。
つまり,3点の金貨が2枚しかない状態で5金貨を支払う場合,6点分の支払いをしてカードを獲得することになります。
そして第一入札者が左隣のプレイヤーに移り,山札がなくなるまで競りを続けていきます。
ところで,競りで山札をめくっていくと,当然金貨が出てくる事があるでしょう。
金貨を支払って金貨を買うのは馬鹿らしいですね。
ということで,金貨が競りにかけられる場合,支払いはカードになります。いえ,クレジット払いではありません。
金貨がめくれた場合,入札プレイヤーはその金貨のために,何枚の手札を捨てられるかを宣言します。
金貨で支払う場合と同様に進めていき,落札したプレイヤーは宣言した枚数のカードを手札から裏向きのまま捨てます。
そして金貨を手札に加えてください。
競りフェイズが終了したら,いよいよ得点計算です。
5つの分野のカードの点数を合計して,一番高いプレイヤーは対応するダイスを獲得します。
最終的に獲得したダイスの目の合計が一番高いプレイヤーが勝利です!
他の修道院長に点数を自慢しましょう!
■プレイ感
さて。プレイ感なのですが,1ゲームを終えて最初の感想は,「これ写本作り関係なくね?」です。
5分野のうち,いくつかの得点を高めれば勝てるシステム上,たとえば
写字生もいないし顔料もないけど聖書と手稿集めてたら勝ちました!
写字生もいないし顔料もないけど禁書を集めて修道院の懇意を集めていたら勝ちました!
という状況はよく起こります。
正直写本作りというテーマはちょっと失敗しているかなという感じはします。そもそも基本的にキチンと写本づくりの要素を集めていたら勝てません。
肝心のゲームの面白さはというと,4人プレイはつまらなく,3人プレイならなかなかといった感じでしょうか。4人ですと,ほぼダイスを2つ獲得したプレイヤーが勝つゲームになってしまいます。
一方,3人対戦ならダイスの獲得数だけでゲームが決まることはなく,本来のゲームが楽しめると重います。
寄進フェイズ,競りフェイズともになかなかジレンマが楽しめますので,数少ない3人でも楽しめるゲームとしてはオススメです。
が,このゲームの最大の威力は,凝った外箱です。
御覧ください。この本感。
さらっと本棚に立てても違和感がありません。
ということで,3人用のゲームとしてはなかなかよく出来ていますので図書館情報学徒,ビブリオフィリアの方々は手元に置いておいてもいいのではないでしょうか。
最近新装版が出たらしいですね