今回紹介するゲームはこちら。
惨劇RoopeR:Χ
人数:4人
ルールの覚えやすさ:★★★★☆
プレイの難しさ:★★★★☆
プレイ時間:90分〜?
諦めるな。さあ,次のループを始めよう。
■目次
▶ゲームの紹介/概要▶プレイ感
■ゲームの紹介/概要
惨劇RoopeR:Χは主人公サイド3人と脚本家サイド1人に分かれて勝利を目指すゲームです。 脚本家の目的は自らの描いたシナリオ通りに惨劇を引き起こすこと。
そして主人公の目的は,脚本家の作ったシナリオを打ち破り,幸せな未来をつかむことです。
脚本家はゲームが始まる前に今回の惨劇のシナリオを用意しています。
シナリオは脚本家よりも上位の存在――ゲーム製作者――が用意してくれたサンプルシナリオでも構いませんし,オリジナルのシナリオを用意しても構いません。
さて。
ここからはみなさんを主人公サイドとしてゲームの紹介をしていきましょう。
脚本家の描いたシナリオが動き始めました。
どんな惨劇が起こるのか,自分たちは何をすればいいのか,なにもわからないままあなたたちはシナリオの舞台にやってきました。
シナリオの舞台は,
神社
学校
都市
病院
この4ヶ所です。
そしてこのシナリオの登場人物たちが現れます。
どんな人物が登場するのかは,脚本家の用意したシナリオによって変わってきます。
登場人物は巫女やサラリーマンなど,さまざまです。
みなさんは毎ターン手札のカードを使ってこの登場人物たちを移動させたり,登場人物との友好を深めたりしていきます。
友好を深めると各人物の能力を使えるようになり,ゲームを有利に進めることができるかもしれません。
そして脚本家も同様に,手札を使って人物を移動させたり,登場人物の不安を煽ったり,あるいは良からぬことを企んで暗躍します。
このゲーム中にみなさんが行うことは毎ターン手札を1枚選ぶことと,登場人物の能力を使うことだけです。
さて,もう少し詳しくゲームを説明しましょう。
登場人物たちは一見すると(「巫女」などの職業名をもつ)ただの一般人<パーソン>ですが,隠された役職をもっています。
それは惨劇を防ぐ上でもっとも重要な<キーパーソン>かもしれませんし,みなさんの<フレンド>かもしれません。他人を無差別に殺害する<シリアルキラー>かもしれませんし,主人公たちを殺害しようとする<キラー>かもしれません。
いずれにしても,主人公のみなさんがそれを知る術はまだありません。
すべての役職を知っているのは脚本家ただ一人です。
このゲームでのみなさんの目的は惨劇を回避し,幸せな未来をつかむことだと説明しました。もう少し具体的に言いましょう。
みなさんの目的はすべての敗北条件を回避することです。
敗北条件とは何でしょうか?
敗北条件は大きく分けて3つあります。
まず1つめはルールによる敗北。
2つめは登場人物の死による敗北。
3つめは主人公の死による敗北。
ルールによる敗北について。
各シナリオはルールYとルールΧによって構成されています。
ルールYはゲーム中1つだけ用意されている,敗北条件を決める大きなルールです。
このルールに定められた条件を満たすと,みなさんの敗北となります。
ルールXはゲーム中に2つ用意されている,副次的なルールです。
この脚本に用意されたルールが何であるのか,みなさんはまだ知ることができません。
用意されたルールを最初から知っているのも,脚本家ただ1人です。
先に説明した通り,ルールYはこの脚本の中心となる大きなルールです。このルールによって登場する役職が定められたり,主人公の敗北条件が決まったりします。
ルールXはシナリオの背景をつくる小さなルールです。ルールXによって直接主人公が敗北することはありませんが,追加の役職を定めたり,脚本に新たなルールを追加したりします。
……なんのことだかわかりませんね?
ひとまず「ルールによって敗北条件が定められていることがある」とだけ理解しておいてください。
登場人物の死による敗北について。
登場人物にはそれぞれ隠された役職があることは説明しました。
中には,他の登場人物を殺害する役職もあります。そして物語のカギとなる<キーパーソン>など,その役職の人物が死亡したとき,主人公サイドの敗北となる役職もあります。
くどいようですが,どの登場人物がどの役職なのか,みなさんは知る由もありません。
主人公の死による敗北について。
シナリオによっては登場人物の殺害を飛び越えて,主人公の殺害を目論む役職の人物もいます。
みなさんが死んでしまったら誰がゲームを続けるというのでしょうか?
以上の条件を1つも満たさずにゲームを終えることができればみなさんの勝利です。特別な勝利条件を満たす必要はありません。
簡単ですね。
……世界を構成するルールもわからない,誰が狂った殺人犯で誰がシナリオのキーパーソンなのかもわからない。
これじゃあ何もわからないうちに奇襲でキーパーソンが殺されたら打つ手が無い。
脚本家が有利すぎるじゃないか!!
安心してください。
脚本家がこの世界のルールを決める能力を持っているように,みなさんにも特殊な能力が用意されています。
それは,時を遡る力。
いわゆる世界をループさせる能力です。
それは偶然古道具屋で見つけた時計に備わっていた能力かもしれません。
あるいは謎のスマホアプリが成せる技かもしれません。
生来の時を遡る能力を,日記を媒体として使用しているのかもしれません。
いずれにしてもみなさんは特定の回数だけ時間を遡ることができるのです。
いまの世界でキーパーソンの殺害を止めることができなかったとしても,次のループでは止めることができるかもしれません。もちろん,止めることができるとは限りませんし,止められたところで他の事件が起こるかもしれません。
ループした先ではこれまでと同じタイミングで,同じ犯人による同じ事件が起こります。
つまり,みなさんは起こった事件から情報を得て,次のループで事件の回避を目指していくのです。
ループを繰り返せる回数は脚本家によって決められています。
そんなことまで決められるのは癪でしょう。
ですが,主人公たちの他の行動にはなんら制限を課していない脚本家が回数制限をかけなければいけないほど,脚本家にとって脅威となる能力なのだと理解してください。
厳密に勝利条件を言えば,みなさんは指定回数のループ以内で,一度でも敗北しなければ勝利となるのです。
■プレイ感
さて。
いつもならばゲームの流れを説明するのですが,このゲームでそれをしてしまうと楽しさを削いでしまう気がします。
親切なことに,このゲームの説明書にはインストの手順まで記されていますので,そちらを参考にしてください。
そしてプレイ感ですが,面白い!
アニメや映画ではよくあるループモノの物語ですが,うまくボードゲームにできています。
主人公サイドは何をすればいいのか全くわからない世界に放り込まれて,犠牲者を出し,ループを繰り返しながら少しずつ前に向かって歩いていきます。
脚本家は世界のすべてを知る立場から主人公たちの行動を眺めて,ときに嘲笑しながら,ときに焦りながら惨劇のシナリオを進めていきます。
緊張感がたまりません。
ここまで読んでいただいた方のほとんどが,このゲームで具体的に何をすべきなのかわからないのではないでしょうか。
そうなのです。このゲームは非常に説明が難しい。ルールをきちんと理解するためには,説明書をきちんと読み込むことが近道だと思います。
しかし,初めてゲームをする人は,おそらく懇切丁寧な説明を受けたとしても結局何をすればいいのかわからないかもしれません。
ですが,1ループを終える頃にはきっと自分たちが何をすべきかがわかっているでしょう。少なくともこのゲームの世界についてはわかっていることと思います。
主人公サイドの行うことは毎ターンカードを1枚選ぶことと人物の能力を使うことだけですので,やること自体は簡単です。考えなければいけないことはかなり多いのですが……
反面,脚本家は少し大変です。
ゲーム開始前のシナリオ準備もそうですが,主人公サイドに脚本の真相を悟られないようにしながら,ゲーム中の各処理を進めていかなければいけません。1つでも見落としてしまうと主人公サイドの推理に影響が出てしまいますので,用意したシナリオの詳細はキチンと覚えておきましょう。
基本的に協力ゲームですので奉行問題(参照)が起こるかもしれませんが,そうならない工夫もされています。
このゲームではループとループの狭間の時間を除いて,主人公同士の相談は禁止されているのです。(脚本家の許可があればゲーム中に相談することも可能です)
ですので仲間の誰かに命令続けてカードを出す機械になることはありません。その一方で,仲間の行動や意図をうまく読まないと自らゲームを不利な状況に運んでしまうかもれませんし,初心者プレイヤーは何をすればいいのかわからず,困り果ててしまうかもしれません。。
協力ゲームとしても異色でルールも難しい。ちょっとハードルが高いように感じるかもしれませんが,一度ハマるとどんどん深みに沈み込んでいくような面白さのゲームです。
脚本のネタバレ防止の為,サンプルシナリオのプレイ日記はかけませんが,オリジナルの脚本を用意したら是非プレイ日記を書きたいと思います。