編集者はボードゲームの夢を見るか

ボードゲーム好きな新人編集者のブログ。ボードゲームの本を作りたい。

Tile Chess(タイルチェス)

チェス盤を使わない不思議チェス

タイルチェス

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人数:2〜4人
ルールの難しさ:★★★☆☆
プレイの難しさ:★★★☆☆
プレイ時間:60〜90分


■目次

 ▶ゲームの紹介/概要
 ▶ゲームの流れ
 ▶プレイ感

■ゲームの紹介/概要

 いままで3人用だったり積み重ねたりだったりお酒を飲んだり
するチェスを紹介してきましたが、今回はチェス盤を使用しないチェスです。

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タイルチェスのゲーム風景。いわゆる「チェス盤」は存在しない。


 基本的なコマの動きなどは通常のチェスのとおりです。
 チェスのルールを知りたい方は日本チェス協会のHPなどをご確認ください。

 さて。
 チェス盤がなくてどうやってチェスをするのかという話ですが、このゲームではコマそのものがチェス盤の役割を果たします。

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 タイルチェスのコマ。立体ではなく、ゲーム名のとおりタイルになっている。


 各コマの色はプレイヤーの担当色。タイルチェスでは最大4人まで遊ぶことができます。
 チェス盤がない状態でどうやって移動するかといえば……ゲームのルールを確認していきましょう。
 

■ゲームの流れ

 使うコマは通常のチェスと同じ……ですが、ポーンだけは推奨される数が変わってきます。
 2人ゲームなら8つ、3人ゲームなら6つ、4人ゲームなら4つが推奨数。
 今回は4人ゲームという体で進めていきます。

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 各プレイヤーの持ちコマ。キング・クイーン各1、ビショップ・ナイト・ルーク各2、ポーン4からスタート。


 コマが決まればあとは遊ぶだけ……かというとそうではなく。チェス盤がない以上、決まったコマの初期配置というものがありません。
 ではどうやって初期配置を決めるかといえば、1人ずつ順番に、1枚のタイルを好きな場所に配置していきます。

 配置するにはいくつかルールがあり、

  • 2つめ以降のコマはすでに置かれているコマと1つ以上の辺か角で接するように配置する
  • キングは最後に配置する
    • ただし、キングはすでにあるコマからチェックを掛けられない位置に配置する

ことに気をつけなければいけません。どういうことかといえば、

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 最初に配置するコマ。最初は好きなコマを適当な場所に配置する。

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 2つめに配置するコマ。最初のコマと辺で接するように配置している。

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 3つめに配置するコマ。最初のコマと角で接するように配置する。

このように1人ずつ順番にタイルを配置していきます。


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 配置終了時のタイル。

 タイルの配置が終了したらいよいよゲームスタートです。
 1人が自分のコマを1つ動かしたら次のプレイヤーの番。最終的に3人のキングが取られたときに、残っている1人が勝者となります。

 コマの動きですが、前述の通り基本的には通常のチェスと同じです。
 動き方が通常と一番大きく違うのはポーン。

 通常のチェスではポーンは前にしか進めませんが、チェス盤がないぶん、「前」という概念のないタイルチェス。
 ポーンは通常の移動の際、縦横上下の4方向の空きマスへ1マス移動することができます。ただし相手のコマを取るときだけは斜め前・斜め後ろの4方向へ1マス移動します。

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 この状況ではポーンは上、右の空きマスヘ移動するか、右上の黄色ナイトまたは左下の緑ルークを取ることができる。


 もう少し例外的な動きを。
 クイーン・ビショップ・ルークの直線移動ができるコマは、自分の移動できる直線上の空いているマスまたは自分のコマの上を移動して空きマスや相手のコマの上で止まることができます。

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 赤のクイーンは左の空きマス(相当のスペース)を通って黄色のルークを取ることができる。


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 赤のビショップは自分の赤コマたちの上を経由して左下の空きマスに入ることができる。 


 そしてもっとも重要なルールは、ボードを2つに分割するような移動はできないということ。
 どういうことかといえば

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 中央にある緑のクイーンが赤のキングにチェックを掛けているように見える盤面。しかしここでクイーンを動かしてしまうとタイル群が左右に分かれてしまうため、クイーンは動くことができない。


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 緑のナイトは移動すると青のポーンが独立してしまうため、移動することができない。
 ということになります。


 このルールによって動かせるコマがなくなってしまったときは何もできずにパスになります。

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 赤がパスをする盤面。どのコマを動かしてもボードを分割する動きになってしまう。
 

 これらのルールを踏まえた上で順番にコマを動かしていき、キングを取られたプレイヤーはゲームから脱落していきます。

 通常のチェスでいうところの「チェックメイト」で脱落するのではなく、「実際にキングを取られたら」脱落することに気をつけてください。

 脱落したプレイヤーが残したコマはキングを取ったプレイヤーの所有となります。
 自分のコマと同様に動かすことができ、クイーン・ビショップ・ルークはその色のコマの上を通過することができます。

 3人のプレイヤーが脱落したとき、残っているプレイヤーの勝利です!
 
 

■プレイ感

 なんで変則チェスってこんなにおもしろいんでしょう。
 もちろん基本的にはチェスなのですが、「ボードを分割する動きはできない」というルールが利いています。
 これによって移動が制限され、「動ければ相手のコマを取れるのに」と苦しい場面が(特にコマの数が減ってくる終盤では)よく出てきます。
 また、「ここに動かすと他のコマがいなくなったときにボードを繋ぐ役割をさせられるからここには移動できない」なんて考えることも少なくありません。

 このゲームで特に重要なのは最初のコマの配置。
 長距離移動できるコマは自分のコマの上を経由して動けるため、できるだけ自分のコマをまとめて配置すると動きやすいような気がします。
 この配置によっては序盤から中盤までのコマの動きやすさが変わってくるので、よく考えて配置しましょう。

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 初期コマの配置例。このように直線でコマを並べてしまうと、「ボードを分割できない」ルールによって駒の動きを大きく制限される。ビショップ2つとナイト1つ、ポーン1つが動けなくなっている。


 チェス盤がないぶん、コマの動きにかなり自由度のあるタイルチェス。
 まだ4人ゲームしか遊んだことはありませんが、2人3人でも同様に面白そうなので早く遊びたいところです。