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編集者はボードゲームの夢を見るか

ボードゲーム好きな新人編集者のブログ。ボードゲームの本を作りたい。

Tower Chess/タワーチェス

ゲーム紹介

 今回は5月5日に行われたゲームマーケットで購入したこちらのゲーム。

Tower Chess

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人数:2人
ルールの難しさ:★★★☆☆
プレイの難しさ:★★★☆☆
プレイ時間:30分

 コマを「取らない」三次元のタワーチェス


■目次

 ▶ゲームの紹介/概要

 ▶ゲームの流れ

 ▶プレイ感

■ゲームの紹介/概要

 「Tower Chess」というだけあり,ゲームの下地はチェスです。
 チェスのルールがわからない方は日本チェス協会のページ等でルールを確認してからご覧ください。

 さて。このTower Chess。
 タイトルのとおり,どんどんコマが重なって塔のようになっていくチェスです。

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 木製の外箱とその中身。ボードもコマも木でできている。

 箱を開けると出てくるのはコマとボード。
 これらを並べた時点で通常のチェスとのちがいが見えてきます。
  

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 ボードとコマを並べたところ。通常のチェスよりも二回り小さい。

 Tower Chessと通常のチェスとの違いは以下のとおりです。

比較項目 チェス Tower Chess
ボードサイズ 8×8マス 6×6マス
コマの数 通常(16個) ナイト無し
ポーン6個
ルール 通常 アンパサンやプロモーション,
キャスリング等無し
(ポーンは最初のみ2マス進める)

 これらに加えてTower Chess独自のルールがありますが,それは次で確認しましょう。
 

■ゲームの流れ

 何度も書きますが,基本はチェスです。
 Tower Chessにおいてもポーンは決して後退しない小さな勇者のままですし,クイーンは縦横無尽に盤面を飛び回る最強の自由の象徴であり続けます。そしてキングは全方向に1歩ずつ動く思慮深い長老です。*1

 前述のようなちがいもありますが,最大の違いは自分のコマをほかのコマに乗せることができることです。

 
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 白のクイーンが黒のコマに乗った状態。

 通常のチェスでいうところのキャプチャ,いわゆるコマを「取る」のではなく,代わりにそのコマの上に自分のコマを乗せることができます。

 下になってしまったコマは基本的に動けません。通常の「取られた」状態と同じです。
 ではなぜわざわざ「取る」のではなく「乗せる」のかというと,このゲーム,何枚コマが積み重なっていてもそのコマを動かす際に動かせるのは一番上の一枚だけです。

 
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 盤面。白のクイーンの下には3枚のコマがあるが……


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 動かすことができるのはクイーンだけ。ほかのコマはその場に残したままで移動する。すると……?


 上の写真でお気づきになられた方もいるかもしれませんが,一番上のコマが動くと,上から二番めにあったコマは戦力として復帰します。

 
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 白のクイーンが動いたことによって,黒のルークが復活。返しの手でクイーンを取られてしまう。

 これがTower Chess最大の特徴です。
 相手のコマを封じ続けておくためには,自分のコマも動かさずに留めておかなくてはならないのです。
  

 そしてもうひとつ。
 通常のチェスでは当然相手のコマしか取ることができませんが,Tower Chessでは自分の(キング以外の)コマの上に自分のコマを乗せることもできます

 これにより,2手目にルークが敵陣に攻めこむことも可能になります。

 
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 ポーンの上に立ち,敵陣に睨みをきかせる白のルーク。

 さらに補足的になりますが,このゲームでは一番上以外のコマを確認することはできません。自分が何のコマの上に経っているのかを覚えておくことが大切です。

 あとは通常のチェスのとおり,相手のキングに自分のコマを乗せることができれば勝利です!

■プレイ感

 これめちゃくちゃ面白いですよ。本当に。

 相手のコマを取っても安心できない,逆に自分のコマを取られても相手の動き次第では反撃できるかもしれない。
 特に強いコマ(≒よく動くコマ)で取られたときは,相手はそのコマをもっと使って攻め込みたいはずなので,(上のコマが動いた結果)下にいる自分のコマが動けるようになる可能性も大きいのです。

 何より好きなのは,取られたコマが睨みをきかせる状況。

 たとえばこんな状況を見てみましょう。



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 チェックをかける白のビショップ。


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 しかし当然返しの手で黒のクイーンに取られます。


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 次の手番,白のルークでチェックメイト。

 2016/5/26追記:この状況,白のキングがルークの上に乗れば逃げ切れますね。ルール説明用ということで,大目に見てください……


 上の状況がどうしてチェックメイトになるかわかるでしょうか。

 通常のチェスであれば,黒のクイーンで白のルークを取って終了です。しかしTower Chessでは……


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 白のクイーンで黒のルークを取ると……


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 クイーンの下からビショップが出てきてチェックメイト。

 (厳密にいえば上の状況ではクイーンは動けないのですが)この敵に虐げられながらも隙をうかがっている感じ,最高にかっこいい!!

 また,自分のコマの上に自分のコマを乗せてから動くことで,相手のコマを二つ同時に攻められるのもまたかっこいい。



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 白のルークの下には白のコマが。


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 白のルークでチェックをかけると同時に,下にいたポーンがクイーンを攻める。


 一度やるとわかるのですが,自分のコマの下に何がいるのかを覚えておくだけでも相当難しいので,相手のコマの下に何がいるのか,すべて覚えておくのは至難の業。
 まさに奇襲です。

 
 通常のチェスですとかなり時間がかかることもありますが,ボードが6×6と小さくなっているため,わりと早く決着が付きます。


 難をあげるとすれば,個人製作のため入手が困難かもしれないところ(今後どこで入手できるのかわかりません)。

 個人的にはナイトが好きなのでいなくなったこと,そしてボードが小さくなってしまったためビショップの「盤面を飛び回る感じ」がなくなってしまったことは残念です。
 が,それは個人の趣味。
 それを踏まえても余りあるほど面白いゲームです。

 既存のチェスの考え方を踏まえつつ,新たな戦略がいくらでも出てきそうなこのTower Chess。
 誰か遊びましょう。本当に。


 


チェスが主題の小説。いい物語です。



通常のチェス。残念ながら積めません。


 

*1:小川洋子著『猫を抱いて象と泳ぐ』P.4より

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