編集者はボードゲームの夢を見るか

ボードゲーム好きな新人編集者のブログ。ボードゲームの本を作りたい。

人狼ゲームについてのご提案

 さて。
 私は人狼ゲームが苦手です。
 嫌いではありません。苦手です。
 ということで新しい人狼ゲームの遊び方をご提案いたします。

 少々前置きが長くなりますので,本題を読みたい方は「ご提案」までジャンプしてください。
 そして本記事は私の主観で書いています。「うちの村はそんなことないぞ!」「私が参加した人狼ゲームは全部楽しかったよ」というご意見もあるかと思いますが,「なるほどそういう人狼もあるんだ」程度でご理解いただければと思います。


■目次

 ▶人狼ってなに?

 ▶私が人狼を苦手とする5つの理由

 ▶ご提案



人狼ってなに?

 まずは,ご存じない方のために簡単に人狼ゲームの説明をしましょう。

 ある村に人狼が潜んでいます。夜がやってくるたびに,凶暴な人狼に村人が殺されてしまいます。しかし昼間になると,彼らは人間の姿に戻り村人の中に紛れます。我慢の限界に達した住人たちは,投票によって人狼だと「決めつけられた」人物を処刑していき,自分たちの身を守ることにしました。

 みなさんは村の住人(村人/能力者/人狼)になって投票に参加します。自分以外のひとの役職を知ることはできません。
 村人や能力者になったひとはお互いを信頼し,投票で確実に人狼を処刑しましょう。人狼になったひとは詭弁で村人たちを誘導して罪のない村人を処刑しましょう。

 そして人狼を全滅させれば村の住人陣営の勝利人狼の数が人口の過半数を超えれば人狼陣営の勝利です。

 さまざまな能力者が出てきたり,村人/人狼以外の第三の勢力がでてきたり,ルールは多様です。興味を持たれた方は人狼wikiをご確認ください。
 なお,ここから下では特別の記述がない場合,最も一般的なルールを想定して話しています。


■私が人狼を苦手とする5つの理由

 さて,そんな人気が高い人狼ゲームなのですが,私はどうも苦手です。
 その理由は,

1. 処刑された/人狼に殺されたひとが手持ち無沙汰になる
2. 初心者の不遇さ
3. 進行役の存在
4. 人狼奉行の存在
5. 正直長い

 の5点です。
 おそらくこの手のボードゲームブログを読んでいる方にとっては見慣れた理由だと思います。それぞれを説明しましょう。

1.処刑された/人狼に殺されたひとが手持ち無沙汰になる
 このゲームから脱落する方法は2つ。1つめは昼間の処刑で殺されること。2つめは毎晩の人狼の襲撃で人狼に噛み殺されることです。
 そしてこのゲーム,基本的に死者には何の役割もありません
 要は一度脱落してしまえばずっと見てるだけ

 そして「5. 正直長い」にも関わってきますが,このゲームは正直長い。序盤で死んでしまうと手持ち無沙汰なことこの上ないのです。

 もちろん,
「脱落したらゲームを見ているだけで楽しい」
「全員の役割を予想するのが楽しい」
「死者はどうせ何も喋れないのだから,全員の役割を確認してニヤニヤするのが楽しい」

等々,脱落後の楽しみもあるでしょう。それはそれでいいのですが,すべての人がその楽しさを理解できるわけではないこともご理解ください。
 また,このゲームはチーム戦ですので,自分が脱落してしまっても自分の所属する陣営が勝てば自分も勝利になります。とは言え,やはり参加しないとつまらないと思ってしまうのは仕方ないでしょう。

2. 初心者の不遇さ
 そんな人狼ゲームですが,初心者から死にやすい気がします。

 どんなゲームでも「この場面になったら動くのが常識だ!」という定石とよばれる動きがあります。人狼ゲームも例に漏れずその定石があります。
 そして,情報が少ない序盤ではその定石を守れないプレイヤーがとりあえず処刑されているように見えます。

 たしかにそれは最適な手だと思うのですが,初心者が入っている場合は違います。
 初心者ですから当然定石も知りませんし,自陣営の足も引っ張ります。それは仕方がありません。

 ですが,そこで初心者を処刑すると「わけのわからないまま脱落させられた初心者」「一切の口出しができないままわけのわからないゲームを眺めている状況」が完成してしまいます。
 ちょっと意味がわかりませんね。

 かといって,そこでゲームに貢献できない初心者を処刑することが(ゲームとしては)最適であるのに,温情や気遣いでそれをしないというのもまた違う。
 そのバランスを取れないので私はこのゲームが苦手です。

3. 進行役の存在
 このゲームではプレイヤーは自分以外のひとの役職を知りません。
 ではどうやって勝利条件の「人狼の全滅」や「人狼が過半数になった状況」を知るのでしょうか。
 このゲームには全員の役職を知った進行役が必要なのです。進行役は勝敗の宣言の他にもやることがありますが細かな説明は省きます。

 全員の役職を知っていますので,進行役は当然ゲームには参加できません
 となるとやはり「見てるだけ」になります。

 もちろん,
「神の視点で村を眺めているのが楽しい!」
 等の意見もあるかと思いますが,やはり参加できないと退屈じゃないですか? 
 私は退屈です。

4. 人狼奉行の存在
 ※この項目は特に私怨を込めて書いています。
 焼き肉奉行・鍋奉行といいますが,みんなで何かをやると取り仕切るひとが出てくることは当然のことです。
 人狼にもその奉行がいることがあります。

「ここで〇〇しないやつはありえない」
「どう考えても××一択」

など自分のやりたいようにゲームが進むことを善しとするプレイヤーです。しかもこれに逆らうと処刑にもっていかれてしまうこともあり,とても厄介です。
 さらに厄介なのが,この奉行が言っていることが「ゲームとしては」正しかった場合
 他のプレイヤーは彼/彼女の言う通りに動く駒になるのがゲームとしての正解になってしまい,大変つまらないゲームになります。

5. 正直長い
 先に少し書きましたが,脱落するひとが出るゲームで長い。これは致命的だと思っています。



 と,私怨を込めつつ書きました。
 重ねてになりますが,これは私の感想ですので
人狼は眺めるもの」
「進行役は神の視点を持てるから面白い」
「初心者は吊るせ」
「奉行様最高」
「一晩中やってようぜ」

などの意見はいったん飲み込んでください。

 要するに
1. 脱落者も楽しめる
2. 進行役も楽しめる
3. 初心者も楽しめる
4. 奉行がいても楽しめる
5. 時間が長くても楽しめる
 人狼ゲームならばいいのです。もっと言ってしまえば楽しければなんでもいいのです。

 と,いうことで

■ご提案

 人狼ゲームの新しいルールをご提案します。

「メガ人狼

 プレイ時間:ゲーム会1回分
 プレイ人数:3人〜無限(現実的に考えると上限は10人程度でしょうか)
 用意するもの:各種ボードゲーム

遊び方

1. 進行役を決めます。

2. いつも通り参加者の役職を決めます。
 初日の犠牲者は出しません。

3. 昼の時間:1つのボードゲームをします。
 人数が多い場合は2つの卓に分けます。
 もうみなさんお気づきだと思いますが,要は昼の時間=他のゲームをプレイする時間です。
 人狼ゲームでの他のプレイヤーの役職を推測しつつ,他のゲームもやります。
 他のゲームをやっている最中に人狼ゲームの話をしても構いません。

ex. カタンでサイコロを振っている最中に
Aさん「ところでお前なんでさっき俺に投票したの?

 ただし,他のゲームの会話は人狼ゲームの会話に優先します

ex. カタンでサイコロを振っている最中に
Aさん「ところでお前なんでさっき俺に……
Bさん「そんなことよりこの材木と羊を交換しない?
Aさん「カタンについての会話中は人狼の話をできない)

4. 夜の時間:各1つのゲームが終わったら夜の時間にはいります。
 この時点で昼間のゲームの勝者には,人狼ゲームでの生死を問わず1点が入ります
 その他通常の人狼ゲームで夜の時間に行う処理をします。



5. 「3.」と「4.」を「人狼ゲームで」決着がつくまで繰り返します。
人狼ゲームで勝った陣営に所属する各プレイヤーは1点を獲得します

6. 得点を計算します。
各プレイヤーの陣営を公開し,それぞれの陣営のプレイヤーが獲得した得点を合計し,相手の「陣営人数」倍します

ex.村人陣営5人,人狼陣営2人だった場合,村人陣営側の得点合計は2倍,人狼陣営の得点合計は5倍になります

そしてその合計点数の高い陣営の勝利です。

Q&A

Q. 死者もゲームに参加できるの?
A. できます。肉体は滅びましたが魂は永遠です。

Q. 死者も得点をもらえるの?
A. もらえます。肉体は滅びましたが魂は永遠です。

Q. 人狼を全滅させたのに得点で負けるって違和感があります。
A. しかたがないことです。何故ならば魂は永遠だからです。

Q. 進行役も「他のゲーム」に参加していいの? 得点をもらっても意味ないよ?
A. 参加したほうが楽しいので一緒に遊びましょう。

Q. 人狼同士は誰が人狼なのかを知ってると,「他のゲーム」で人狼が有利じゃない?
A. そんな行動から人狼を推測しましょう。



 というメガ人狼,いかがでしょうか。
 脱落せず,全員が遊べてかつ人狼ゲームも出来るということで考えましたが,正直人狼ゲームが副次的なものになりそうな予感もします。

 そして何より,ここまでのルールはすべて仕事に疲れた金曜日の脳が考えた「ぼくのかんがえたさいきょうのじんろうげーむ」です。
 一回も実践していませんし,ゲームバランスの調整もしていません。
 
 とはいえ,正直面白そうな気がしています。
 他のゲームを進めている最中に人狼の駆け引きも出てくるメタな感じはとても好みですし,人狼がわからない人狼初心者も「他のゲーム」を楽しめるのではないでしょうか。
 ただ,たくさんのゲームをすることになるので,数字上プレイ時間は通常人狼の比じゃないレベルで長くなります

 機会があったらレポートを書きますが,もしこの記事を読んでいただけた方で実践してみてくださった方がいましたら,twitterか何かでも感想をいただけたら嬉しいです。
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